結婚式で花婿が着るタキシードは「フォーマルウェア」。格式の高いセレモニーとされている結婚式にふさわしい礼装を選んで、カッコよくゲストを迎えるために、フォーマルの基本を学んでみよう!
正式な場の装いには
「フォーマルルール」がある
叙勲や授賞式、結婚式、卒業式などの式典やセレモニー、宮中の晩餐会・祝賀会、舞踏会など格調の高い正式なパーティには、その格式にふさわしい服装のマナー「フォーマルルール」が規定されています。「フォーマル」とは「公式であり、格式あるさま」を指す言葉です。格式が高い公式の場の礼装がフォーマルウェアです。
結婚式(挙式・披露宴)は国際的にも格の高いフォーマルなセレモニー&パーティと規定され、新郎新婦や両親など主催者はもちろん、ゲストも礼装で列席するのがマナーとなっています。結婚式の主役である新郎新婦は最も格の高い正礼装でゲストをお迎えしなければならなりません。だからフォーマルウェアのルールを知って、恥ずかしくない装いを選びましょう。
TPOのルールを知って
格式にふさわしい礼装を選ぶ
フォーマルウェアは、TPO〈Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)〉によってスタイルが決められています。時間は18時(冬は17時)を境に昼と夜で分けられます。時間で装いを変える文化は、元々、ヨーロッパの上流階級が日に何度も着替えていたことが起源と言われ、時代と共に簡素化され現在の分け方になりました。
最も格式の高い昼間の正礼装が「モーニングコート」で、夜の正礼装が「テイルコート(燕尾服)」。「タキシード」は夜の礼装で、テイルコートに準ずる礼装だが、現代では正礼装と同格の扱いで公式な場でも着られるようになってきました。さらに、夜まで続くセレモニーやパーティでは昼の時間帯から着られると広く解釈され、日中の時間帯に行われることが多い日本の婚礼シーンでもホテルを中心にタキシードが主流になっています。
時代と共にフォーマルウェアの装い方が変化することもありますが、本来フォーマルウェアの精神は、格式ある場に集う人たちへの敬意であり、他人を不快にさせないための装いのマナーです。その基本精神を踏まえた上での、アレンジであるべきだと心得ておきましょう。
【正礼装:昼18時以前】モーニングコート
国家式典クラスの格式高い場に参加するとき着用する昼の礼装で最もフォーマルな服装です。モーニングコート、縞柄のパンツ、ベスト、タイはシルバーが一般的です。
【正礼装:夜18時以降】テイルコート
燕尾服として知られるテイルコートは夜の最礼服で「ホワイトタイ」と言われています。上衣は拝絹付きで、裾のカットが異なるのがモーニングとの相違点です。
【準礼装:昼18時以前】ディレクターズスーツ
モーニングを簡略化したようなスタイルのスーツです。黒・濃紺・濃グレーの上衣に縞柄のコールズボン、ベストのセット。白無地シャツにシルバー系のタイ。
【準礼装:夜18時以降】タキシード
現代において礼装の中で最もフォーマルな正礼装と同格の扱いになっています。英国では「ディナージャケット」と呼ばれます。ダブルブレストのタキシードや、ベストのスリーピースも正式なスタイルです。
【略礼装】ブラックスーツ
「ブラックスーツ」が日本では略礼装とされています。昼夜の時間帯の区別なく、結婚式などの慶事には白やシルバーのネクタイ、葬式などの弔事には黒ネクタイに付け替えるだけで着られる便利な礼服です。チャコールグレーや薄い黒は「ダークスーツ」と呼ばれます。結婚式では列席者の装いのため、新郎用の衣裳としてはふさわしくありません。国際的にはフォーマルウェアに含まれていないので海外での着用に注意が必要です。
夜の社交界から誕生した
男のこだわり「タキシード」
タキシードは、19世紀後半に燕尾服から着替えて煙草を楽しむときに着る「スモーキングジャケット」として生まれ、英国皇太子がパーティで着用して広まったので英国では「ディナージャケット」と呼ばれています。タキシードの名称は、米国ニューヨーク州の「タキシードパーク」での社交パーティで着られて注目されたという逸話から名前が付けられ、欧米の上流社会の夜の正装になりました。タキシードの特長である襟の拝絹は暗い照明の中で表情を華やかにしようとした燕尾服の名残です。そんな歴史的な背景や意味を紐解きながらタキシード選びにこだわってみるのも面白いです。
「礼服」ではなく「礼装」と呼ばれるのは、コーディネートのルールがあるから。テイルコートは「ホワイトタイ」とも呼ばれ、白いタイとベストを組み合わせます。一方、「ブラックタイ」と呼ばれるタキシードは黒のタイとカマーバンドを合せます。夜の礼装は白と黒を基本としたシンプルなデザインだが、これは舞踏会などで女性の華やかなドレスを引き立てるため。ドレス姿の花嫁をエスコートする新郎にふさわしい装いといえます。
タキシードを選ぶ時の
チェックポイント
Check.1
黒のボウタイにシャツは白無地のプリーツ付きウイングカラー、またはレギュラーカラーです。
Check.2
襟には拝絹が付きます。尖ったピークドラペルとショールカラー(ヘチマ襟)の型があり、どちらも正式です。
Check.3
室内着なのでポケットにフラップ(雨蓋)はありません。後ろ身頃も切れ込みがないノーベントです。
Check.4
カマーバンドはタイと揃いの黒が基本です。ひだの溝が上になるのが正しい向きです。
Check.5
ズボンの両脇には「側章」と呼ばれる拝絹と同じシルク地で飾ります。
Check.6
ボタンは同じ生地で包んだくるみボタンを使用します。
Check.7
シャツの裾はカフリンクスを付けます。スタッド釦とはお揃いで黒蝶貝やオニキスが最適です。
Check.8
黒のエナメルパンプスまたは内羽根式のプレーントゥが最適です。
ハツコ エンドウ ウェディングス
03-3563-1411
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